「月刊少年ガンガン 7月超特大号」を読んだ

  • 2011/06/18(土) 19:14:08

価格は特別定価580円です。
荒川弘書下ろしイラストが入った時計も付いてきます。


大昔に買ってたきりのガンガンをなぜ今買ったかというと、
ついうっかりです。

いやね表紙がさあ、鋼の錬金術師だったんですよ。
それも宣伝とかじゃなく漫画が載ってるの。

タイトルは「鋼の錬金術師 プロトタイプ」。

これを見て、つい。

確かにアニメは最後まで見たしゲームも一本買ったうえ
攻略まで書きましたよ。
これもついうっかり買っちゃったんだけども。
もう一本は中古価格がいい具合になったら買って攻略も書く予定です。

でも原作は全巻立ち読みしただけだし番外編が載ってるからって
ガンガンを買うまでは……ああ、うっかりうっかり。

なんて俺は優しいんだろうか。
そっけないそぶりをしても思い入れとか愛着が積極的に生まれてしまう。

だから買ってしまいました。

ま、そんな話はいいんです。
ただでさえ長文になる人間なんだから
前置きでこんな幅取っちゃダメでしょうよ。

では参りましょう。

とその前に、タイトルがガンガンになっているのは他の初めて読む
漫画のことも全部書く予定だからです。

さあ参りましょう。



読み始めてまず驚いたのは、ロゼが出てきたこと。

え?
1話の前に実はロゼと会ったことがあったという設定?
でもそんな後付け丸出しの設定なんてなあ……。

なんて思いながら読むとエドとアルが普通にロゼと会話してて、
しかもなんだか1話と似た内容になっている。

ようやく理解した。

てっきり1話より前のエピソードだと思ってたんだけど、
違う違う、これは1話の下書きとか草稿とかそんなやつ、
初期バージョンなんだ。

ああなるほど、だからプロトタイプね。
まさにプロトタイプですよ。

しっかしこんなん書かすとはガンガンめ、
なりふりかまわずって感じだな。

荒川もよくOKしたよなあ(笑)。
完成した1話を世に送り出したのに今更没になったバージョンを
書くなんて抵抗があってもおかしくなさそうなのに。
ま、荒川はアニメオリジナルにもかなり寛容みたいだし
気にしないタイプなのかもしれないな。



さて漫画のコンセプトも理解できたし内容へ移ろう。

この話は……ああ、ネタバレするけどいいよな。
どうせ読んでないと俺の書くことも分からないわけだしね(笑)。


この話は、賢者の石を求める旅の途中、異常気象に見舞われている
「砂漠のオアシス都市」クロワトールを訪れたエドとアルが、
追い詰められた生活をしているロゼら住民を放置しつつ、
悪の統治者アルゼン少佐から渡された賢者の石で
人質に取られたアルとロゼの解放と余った賢者の石をもらうことを
条件にアルゼンを不老不死にしてやるも、自分以外の人間を
不老不死にされては困るとエドを殺そうとしたアルゼンを逆に始末し、
このまま異常気象で街が消えていくことを悲しむロゼの涙から
湖を練成してあげたものの、賢者の石を使い切ってしまった
エドたちはまた賢者の石を求める旅に出る、という内容。


どうだ、これでも短くした方だぞ(笑)!

さすがに荒川弘といったところか、良かった部分、面白かった部分は
61ページの中にいくつもある。


まずは最初の方で「ついでに神様もいないわよね」と自嘲気味に言った
ロゼが、最後に湖を見て「ああ……神様…!!」と言ったこと。
なんていうのか、ちゃんと最初と最後をつなげてる、わけですよね。

それにプロトタイプでのロゼは別に本気で神を信じてるわけでも
なさそうなのに、連載版だと神にすがって自分では
何もできない人間に変更されているのが面白い。
アルゼンの設定は実際の漫画では炭鉱の話に使われてますね。


次に、アルゼンの要求の流れ。
要求を断ったエドにアルたちを人質にしてることをアルゼンが告げ、
牢屋の中で錬金術に詳しくないロゼに錬金術の基本をアルが教え、
等価交換に反するから不老不死は不可能だと答えるエド、
というふうにシーンは切り替わっているんだけど、これは上手い。

自然に場面転換しつつこの漫画における錬金術のルールと
エドが断った理由が説明されている。
良くできてる。


最後に、エドとアルの体の種明かし。
アルゼンたちに攻撃されて初めてエドの体の一部が機械鎧なのと
アルが鎧だけの体なのが明かされるこの演出は、
単純に絵として良く描けている以上のものがある。

こっちはもう知ってたから最初はなんとも思わなかったんだけど(笑)、
考えてみれば鎧だからアルは周囲から鋼の錬金術師と間違われてたし、
見た目は普通のエドがなぜ鋼の錬金術師なのかの疑問がぼんやり残る。

それらのネタ振りが種明かしを効果的にしており、さらに機械鎧という
設定の初披露、人体練成ししたため今の体になってしまった過去が
この一つのシーンに畳み掛けられている。

それでバトルも良く描けているとなれば、もう褒めるしかない。
素晴らしかった。


では今度は気になった部分について。

一つ目は……というかああ、全部一つにまとめられるや(笑)。
気になったのは絵です、絵。
全体的には問題ないんだけど、いくつか問題があった。

75ページの最後のコマのロゼの横顔。
ちょっと変で、荒川っぽくない絵になってる。
まあちっちゃいことですけどね(笑)。

アルゼンの最後。
ボスがやられたにしてはコマが小さいし、しかも絵に迫力が全くない。
次のページから締めに入っているためページの都合で
このようになったと思われるが、ボスの最後という
大事なシーンが迫力不足なのはいただけない。

その次のページのロゼ。
砂漠で街が消えることを語るシーンで、目を隠してロゼを描いたコマ、
悔しさや寂しさ混じりにかすかに笑うロゼの横顔を描いたコマ、
そして次のページにまたがり悔しくて涙を流すロゼのコマ、
となっているんだけど、横顔の次が涙なのは感情が飛びすぎと思った。
悲しみを伝える演出なのは分かるし、そういうのは他の漫画にもある。
でもこの場合は配列がまずかったんじゃないだろうか。
コマを入れ替えて、横顔の次に鼻まで描いて目(表情)を隠した
コマにすればスムーズに繋がったはず。
それだと流れができてるからロゼの悲しみを伝える効果は
若干薄れるかもしれないけど、不自然なのよりはいいと思う。

最後のページ、最後のコマ。
線路を横切るエドとアルに、線路の遠くから来る列車の絵は
意味がわからない(笑)。
いきなり抽象的すぎるよ。
あとアルの「さて次はどこへ行こうか?」も違和感がある。
「じゃあ(兄さん)次はどこへ行く?」の方がアルらしいと思う。



とまあいろいろ書きましたが、全体としては十分面白かった。
これを読みきりで初めて読んだとしたら期待の大型新人現る、と
思ったでしょうね。
完成度が違う。

書き忘れてたけど、見開きで描いた湖の絵は
エピローグに相応しく綺麗だった。

で。
でですよ(笑)。

実は読んだあと凄く困ったんだよね(笑)。

これが現在の荒川が描いたものか当時の荒川が描いたものか
どっちなんだろうと思って。

気になった部分は今の荒川が描いたにしてはわずかに不自然さがあるし、
当時の荒川が描いたにしては絵に違和感がなく良い部分の質が高い。

これで悩んでねえ(笑)。
どっちもそうといえばそうで、今でも当時でも納得できなくないから
考えれば考えるほど迷っちゃう(笑)。

なので考えるのはやめて、プロトタイプのことを書いてる
よそのブログを見てたら、ありました、答えが。

当時のネームに現在の荒川がペン入れしたものだったようです。

雑誌の最後方にある作者コメントに書いてあるそうです。
まだ他の漫画を読んでないので気付きませんでした。
あとこの読みきりの最初の方にも説明がありました。
今気付きました。

ああ、そっかぁ!
なるほどなあ。
そうだったか。

とすると新人が描いてこれということになるのか。
俺は鋼の錬金術師は過大評価されてると確信してるんだけど、
それでも抜きん出た部分はあるんだなあ。

構成力…の使い方が合ってるか自信がないので平たく言うと(笑)、
話の組み立て方が確実に新人離れしてる。
この構成力あってのあの内容だったか。

いや、荒川を見直したよ。


俺はアニメ1期の終盤から鋼の錬金術師という作品に入ったんだけど、
いくらかでも初めて1話を読んだ気分をこのプロトタイプで味わえた。

読んで良かった。
ガンガン買って良かった。

これのために買う価値は十分あった。



以上、鋼の錬金術師プロトタイプの話は終わり。
次は他の漫画全ての話を短く書こうと思う。
初めて読むのに何が書けるのか、書く意味があるか分かりませんが(笑)。

当然、記事を分けます。
続きは完成してから。
万が一興味があるという心優しい方がいましたら、しばしお待ちを(笑)。

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この記事に対するコメント

成る程成る程~没バージョンは連載とはまた違った味を楽しめる良い物だな(笑)~
鋼錬は連載でしか読んでないから違いが分かって良かった(笑)

  • 投稿者: 生まれてないけど巨人の星
  • 2011/06/18(土) 19:41:45
  • [編集]

コメントありがとうございます。
参考になれば嬉しいです。

そうですね、読んでみるといろいろ興味深いものでした。
連載前の読みきりとかなら単行本の最後に収録されたり
するんですけど、世に出なかったバージョンとなると
普通は読む機会がないですからね。

ひょっとして思ったより価値のある試みだったのかもしれませんね。

  • 投稿者: chocobis
  • 2011/06/18(土) 22:21:31
  • [編集]

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