鋼の錬金術師とはどういう作品であったか 1

  • 2010/12/31(金) 08:44:21

前に書いてから随分時間も空いたし、
もう一度最初から見直すことにしました。

鋼の錬金術師の総評です。



まず、この作品の出来だが、なかなかの良作であるとは認めている。
ブリッグズからだったか、そのあたりからは物語がよく動いており、
非常に盛り上がる回もありつつ、最終回をちゃんとまとめた。
よく出来ている方だ。

しかし、断じて世間の評判ほどだとは思わない。
過大評価されていると常々感じている。
見過ごせない欠点がいくつもあるからだ。

今回はそれらを書いていき、総評にしようと思う。



・賢者の石について

この物語は、賢者の石を探し求めるところから始まっている。

当然、見つけ出すまでの物語だと思うだろうが、
割と序盤でホムンクルスなる敵が賢者の石を持って登場した。
これはいけない。

エド達にとって賢者の石は最終目標だったのだから、
それを覆すなら、やっとのことで見つけ、そして新たなる敵が
あざ笑うかのように登場するような展開が必要だろう。

言うなれば「賢者の石編」とでも名付けられる程のボリュームが、
ホムンクルス登場までに欲しかった。

そうすれば、物語のスケールアップになったと思われる。
短くするならするで、やはり次のステップへの演出が必要か。



・序盤

アニメの2期が始まった最初の方はやたらと評判が悪くて、
今でも2009年に放送された分は悪いと言う人間がいる。

だが、アニメの後に原作を読んだ俺から言わせてもらうと、
全く同意できない。

それだけ違うなら後から読んだ原作がとても素晴らしいものに
思えるはずだが、印象が変わることなどなかった。

つまり、これが原作の実力なんだよ。
実際、原作は最初から人気があったわけじゃないなんて話も聞くぞ。

なぜ叩かれているかは見てる人間のことなので後にする。
ここでは、序盤に問題があるのは原作のせいであるとだけ明言しよう。



・約束の日関連について

ホムンクルスとの最終決戦であり、今まで出てきたキャラクターが
集結する展開は評判が良かったが、やはり気になるところがあった。

中でも、ロスとハボックの再登場が一番大きい。
この二人は武器や弾薬の補給要員なのだが……いらんよね(笑)。
緻密な軍事モノではないこの作品で、弾切れのような描写は必要ない。

それを入れたということは、弾切れは二人をねじ込むための
口実ということだ。

作者の目論見がこうあっさり見抜けちゃいかんでしょう。


ロスといえば、ブロッシュとの再会も気になった。

再会した、良かったね。
それだけ。

一応敵側として出てきたブロッシュなんだから、
再会することで何かあるのかと思ったが、何もなかった(笑)。
これは駄目ですよ。

同じく、グラマンも大総統を計略にかけたまでは良かったが、
それで終わりだった。

アルがお父様の元にワープされた時点で、マルコーとヨキの出番も
終わりになっていた。

いくら約束の日がクライマックスとはいえ、そこでの話を
投げっぱなしにしていいことはない。
あのキャラは今何をしてるのか、いつ絡んでくるのかといった
疑問が残り、そして終わったあとにガッカリさせられる。

キャラが役目を終えたらそれを知らせるサインが必要だろう。


当時も書いたが、お父様戦でのグリードもおかしかった。

いきなり自分が本当に欲しかったものに気付いた。

グリードは強欲をつかさどり、全てを求めるキャラだった。
それなのに、本当に欲しいものとは何だ?

そんなものがあるのなら、約束の日までにグリードが悩む描写などを
入れておかなければならない。
リンは説教してたがそんな話題じゃなかった。 

唐突だったと思う。
間違いなく、このときの荒川はノリノリで描いてる。
ノリだけで考えなしに描くからこうなった(笑)。


真理との会話などでエドが口にした、ニーナのこと。

これも唐突だったと思う。
ニーナのことは最初に落ち込んで以来、全くといっていいほど
出てこなかったはずだ。
それが最後になっていきなり話に出るのは違和感がある。

気にしているのなら、ちょくちょく思い返させるべきだった。


約束の日はクライマックスだから全てが決着に向かうのは当然。
しかし、やり方に大きな問題があったと思う。

ただブチ込んだだけというか、おそらく荒川は最後ということで
今までに会った出来事をピックアップし、後は入れられるところに
入れていったんじゃないだろうか。

だから唐突さがあったり、単発で終わって約束の日の間に再会や
行動をしたキャラたちから新たな展開が生まれなかったんだろう。

このまとめ方には力技ばかりで細かさを感じない。

ちなみに、最後になって今までのキャラが出てきたのは、最初に
ばら撒いておいて最後の一点に集約させる手法を取ったに過ぎず、
よく言われる荒川がキャラを大事にしているとの評価は間違いだろう。



・キャラクター

イメージからすると信じられないほどに、実はキャラが弱い。

どれもキャラ作りの基本から抜け出せておらず、
見た目だとせいぜいアームストロング(弟)ぐらいしかいない。

大人のキャラ、特におっさんが活躍するという評判がある。
確かに他の少年漫画に比べて大人が主人公たちに埋もれておらず、
行動的である。
しかし、個性的かと言われるとそうでもない。

これは絶対的に描写が足りないからだろう。
新人だから仕方がない部分もあるとは思うが、足りないなら足りないで
個性を持たせるのがプロではないだろうか。



・ギャグ

この作品の特徴の一つといえる。
ギャグが多く、それもページや展開のタイミングを計って
入れられている。

これは少年漫画のくせに話が重いことを作者が自覚しており、
軽減しようとしているからだろう。

事実、ギャグのおかげで暗くなりすぎることはない。

つまり、ギャグがあるからこそ鋼の錬金術師は
少年漫画でいることができるのである。
ギャグをなくすと青年漫画に片足を突っ込んでしまう。

これは特に作品を取り巻く環境を語るときに
絶対に外せない要素である。

ある意味、象徴的な部分だと思う。



・ボリューム

壮大なようでそれほど長くはない。
むしろ短い。

ブリッグズに話が移ったとき、アームストロング(姉)が味方に
なったら終わりが近いだろうなと思ったらあっさり味方になり、
そして次の展開は約束の日、つまり最終決戦だった。

これには驚いた。
手がかりの一つでも探しにいくだけだと思っていたら
もう終わりに向かっていたとは。

話を一つ大きく進展させたらキャラごとシーンごとを細かく見せる
作品ではあるが、それでも足りないと思う。

全27巻は短い。
無駄はないが、それゆえキャラの魅力の乏しさに繋がったのではないか。
話の動かない回も必要なんだろう。



次は少年漫画としてのハガレンについてを書く。

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